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第34回 布施緩和ケア研修会(布施医師会主催)をオンラインで開催しました

2024年7月27日(土)に、「第34回 布施緩和ケア研修会」(布施医師会主催)が開催されました。

医師会で主催するイベントで、医師や看護師など医療職に加えて、介護職など多職種の方々にも門戸を広げて研修会を行っています。


今回は400名に迫る申込をいただきました。

これもモットーとして

多くの方に「開かれた研修会」を目指してきたからに他なりません。

いろいろと掛け合わせることで何かが変わる。

そのような思いもあって今回は『小説家×医師×緩和ケア』 をテーマに設定しました。

基調講演1では、

「人にやさしい医療をめざして」と題して

市立東大阪医療センター放射線科 下田絵美子先生にご講演をいただきました。

そして基調講演2では

「人はどう死ぬのか」と題して

小説家 兼 医師 久坂部羊先生にご講演いただきました。

人にやさしい医療をめざして

お1人目として、下田先生には医療における放射線科、放射線治療の役割、そして緩和ケアとの関わりを事例とともに解説していただきました。

緩和医療における放射線治療・緩和照射の役割としては、次のような項目が挙げられます。

  • がん特有の痛みを和らげたり、がんが引き起こす様々な症状を軽減したり、QOLの維持・改善を図る
  • 今ある症状だけでなく、今後起こりうる症状についての対応も含む

ただ、緩和照射はまだまだ普及しているとは言えません。それは次のような原因があるためだと、下田先生は解説されました。

<緩和照射が普及途上の理由>
  • 地域内の医療機関で骨転移などの診断・治療の連携が不十分
  • 骨転移などの診断・治療に関する院内の多職種連携の仕組みが不整備
  • がん治療に携わる医師の緩和照射の知識が不十分
  • 放射線治療医(専門医)が少ない
  • 一般市民が緩和照射の正しい情報を得る機会が乏しい

最後に「放射線照射の適応があるか迷ったら、まずは放射線治療医に相談ください」とのメッセージでまとめられました。

人はどう死ぬのか

つづいて講演2では、主に在宅死のメリット・デメリットについて、久坂部先生の外科医、そして13年間の在宅医としての経験を交えて解説していただきました。

在宅医療のメリット・デメリットとしては

メリット

  • 住み慣れた環境にいられる
  • 食事などが自由にできる
  • いつも家族と暮らせる

デメリット

  • 専門的な検査・治療が受けられない
  • 医師や看護師がそばにいない
  • 家族への負担と不安が増しやすい

などを挙げられています。

病院死と在宅死のそれぞれのメリット・デメリットは逆の関係にあることから、久坂部先生は次のようにお話ししてくださいました。

病院死のメリットであると考えられている、「最後まで医療を受けられる」、「家族が安心」というのは心理的な妄想に過ぎない。また、病院死のデメリットである、「住み慣れた家で死ねない」、「余計な医療行為で苦しむ」といった実害が起きており、点滴や酸素投与で死を止めることはできず、逆に身体に負担がかかり、心地よさを軽減してしまっている。

と解説されました。

また在宅医療の成功例、失敗例を挙げられ、穏やかな最後に必要なのは、死を受け入れる覚悟と、医療に対する幻想を捨てること。死に対して医療は無力であることを患者、家族に受け入れてもらうためにもタイミングと伝え方、雰囲気作りに注意を払った上での事前説明が大切とお話を締めくくられました。

かわべクリニックの取り組み

私たちが、かわべクリニックを開院してまもなく丸9年が経過します。

患者さん、家族さんが死を前にして心づもり、心の準備をしていただくための工夫として、

を用いて、私たちも死に対してきちんと向き合い、適切なタイミングを心がけて説明してきました。

「看取り」に関わる仕事として、大切なものを失いたくありません。

東大阪の地で在宅看取りを専門としてきた医師として、質の高いサービスを提供し続けます。

そして、サービスを受ける人が「希望するサービスを選べる」ような仕組みを作っていきたいと思っています。

今回ご参加いただいた皆様、貴重な講演をしてくださった皆様に改めてお礼申し上げます。

今後も、医療・介護に関わるすべての職種を対象とした緩和ケア研修会を継続していきたいと思います。引き続き、多くの方々にご参加いただけることを心より願っています。

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