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豊かに生ききることの意味【看取りの報告書・BUさまのこと】

かわべクリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。これまでお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出とともにご紹介したいと思います。

生き様から伝わる豊かに生ききるということ

病院への看取りの報告書

いつもお世話になっております。ご紹介いただきましたBUさまについてご報告させていただきます。

貴院を受診された際に、お父さまに残された時間を知った娘さんと息子さんのご覚悟が決まったそうです。父の日のお祝いも兼ねて、ご家族で淡路島へ旅行に出かけられたBUさまは「何年ぶりかに娘と息子と3ショットの写真を撮った」と嬉しそうに写真を見せてくださいました。

しかし、旅行の後から倦怠感が増し、日中も眠っている時間が長くなりました。そんな中、BUさまは「人生に悔いはない。よく働いて、遊びたいだけ遊んだ。たくさん旅行にも行って、ゴルフも十分に楽しんだ」と話されました。それでも「あと1年くらいは孫の成長を見たい」「今年の正月も娘婿が作ってくれるおせち料理を食べたい」と、揺れる心情を語ってくださいました。

最期が近いことをご家族にお伝えし、終日ご家族が付き添う体制となりました。そして数日後、BUさまは安らかに永眠されました。最期の数日は夢の中で行きつけだった飲食店に出かけていたようで、とても陽気なBUさまの歌声も聞かれました。

その様子を見た息子さんが「親父らしいです。本当に良く働いて、人生を楽しんだ人です」と笑って眺めていたのが印象的でした。娘さんは最期の時に立ち会うことはできませんでしたが、淡路島旅行を計画し、すぐに行動に移してくださり、毎週末にはお孫さんを連れて来訪くださって、BUさまを笑顔にしていました。

BUさまにとって大切な存在であったご友人の方が最期までサポートしてくださったことも、BUさまらしく生ききった証だと思います。

ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

豊かに生ききることができたか?検証は難しい

私は患者さんに豊かに生ききってほしいと考えています。また、私自身も豊かに生ききりたいと思っています。

病院に勤務していた時代は「豊かに生ききる」という発想は乏しく、患者さんが今の状況から精一杯戦っていると感じ、労うことが多かったです。でも、それは本当にその患者さんが豊かに生ききった姿だったのでしょうか? 豊かに生ききったかどうかは誰にも判断できません。なぜなら、その患者さんとはもうお話ができないからです。

では、どのような形が「豊かに生ききる」なのかを考えることが、私たちの大切な努めでもあります。

そのプロセスの中で、患者さんの後悔がないようにするだけでなく、患者さんが精一杯生き、思ったように生きる、希望した場所で希望した形のケアを受けることができること。その人が大切にしている希望が叶えられて、はじめて「やり切った」「生ききった」と思えるのではないでしょうか。また、残された家族がどう感じているかも重要だと思います。

「いつか必ず終わる」認識を持つと…

私は「覚悟」という言葉はあまり好きではありませんが、人はいつか亡くなるものです。自分の人生もいつか終わるという認識を持つ必要があります。そうすると、おのずと自分の大切な人に自分の想いを伝えることができるのではないでしょうか? 伝えることで叶えられることができ、その結果、後悔が少なく、豊かに生ききれたと感じられるのではないかと在宅医療を通じて感じています。

開業してから気づいたことがあります。それは、私たち医師や看護師だけでは何もできないということです。人が亡くなる時に必要なのは、医療だけではありません。

患者さんに残されたある心配事

ある日、ある患者さんからこんな相談を受けました。「先生、痛みはなくなったわ。先生たちが来てくれるから安心。でもね、ワンちゃんを置いて逝けない。私が亡くなったあと、先生たちが面倒見てくれる?」病院では経験したことのない相談でした。その時、私は目の前にいる患者さんが豊かに生きるために必要な存在は、私たち医療従事者だけでは解決できないのだと気づきました。つまり、医療や介護、福祉だけでなく、弁護士や司法書士、葬儀屋など、その人の人生に関わるすべての職種が連携しなければならないのです。

東大阪プロジェクトの活動につながる想い

こうして、私たちは「真の地域包括ケアシステム」を目指し、東大阪プロジェクトを立ち上げました。これにより、地域全体で患者さんを支え、彼らが安心して最期を迎えられるようにするために、考えるべきことはたくさんあります。

<お知らせ>幕張メッセ・在宅医療連合学会大会にて

このような私たちの想いを幕張で伝えたいと思っています!

このたび、2024年7月21日(日)幕張メッセにおいて、第6回日本在宅医療連合学会大会の特別シンポジウムを開催します。

テーマは【あなたのまちを最期に住みたいまちに変える「超・地域包括ケアシステム」作戦】

演者:東大阪プロジェクト/医療法人 綾正会かわべクリニック 川邉正和・川邉綾香
いとうまもる診療所 院長 伊藤守・つながる訪問看護ステーション所長 加藤裕子
医療法人社団 守成会 理事長 廣瀬憲一
訪問看護ステーション ここな 田中竜一・ 竹下みちよ
座長:日本医療デザインセンター 蒲原雄介2024年7月21日(日)12:40-14:10 幕張メッセ国際会議場第9会場(1階会議室104)

後日配信もあるそうですが、よろしければぜひ幕張メッセにてお会いしましょう。

参加方法は日本在宅医療連合学会の大会ホームページをご覧ください。ご参加をお待ちしております!

【今週の東大阪プロジェクト】

東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

お知らせ・第17回まちカフェ@東大阪プロジェクト
inゆめふる長田(参加有料)

懇親会のご案内です。
リアルでも顔の見える関係を築きませんか?

【申し込み】
参加を申し込む

暮らしを支える皆さま(医療・介護・福祉に限らず)が集うトークカフェイベントです。
懇親会もあり、意見交換、お悩み相談、名刺交換など自由にお話しいただけます。

介護エンターテイナー(石田竜生さん)の『笑いの体操』もあるよ!
話題提供:相談業務で大切にしていること〜関わる人を幸せに〜
株式会社ソーシャルケアリーチ
ケアリーチ 住まいサポート
濵﨑 勲 さん
高校卒業後、電気・設備・建設関連の一般企業で勤務ののち、近畿職業能力開発大学校へ入学し福祉を学ぶ。
卒業後はうえろく株式会社へ入社。
在宅介護・調剤薬局・結婚相談所・便利屋事業などの企画・開発・事業立ち上げに携わる。
同社退社後、令和3年に独立、起業。
『関わる人を幸せに。』をモットーに、『医療・介護・住まい』をつなぐ「居住支援法人」ケアリーチ住まいサポート事業、在宅介護(居宅・訪問介護)事業を立ち上げ、日々活動中。

日時:令和6年8月3日(土)18:30~20:00(途中参加退席可・お早めの来場をお願いいたします)
場所:デイサービスゆめふる長田 東大阪市長田東1-2-34(コインパーキングあり・有料)
大阪メトロ・近鉄けいはんな線「長田」駅徒歩1分

定員:40名程度
対象:どなたさまでも(職種は問いません)

会費:2000円(コーヒー+スパイスカレー(ミニサイズ))
・バターチキンカレー(カームスペース・週末のみ営業の名店)
カームスペースさんのインスタグラム@calmspace
石田竜生さんのインスタグラム@tatsuki_ishida

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