東大阪プロジェクト
かわべクリニック
かわべクリニック
トップへ戻る

かわべクリニック ブログ

出会うことで動き出し、ともに未来を変える【看取りの報告書・BRさまのこと】

かわべクリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。これまでお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出とともにご紹介したいと思います。

ご家族の想いや経験がだれかの支えになることを願って

病院への看取りの報告書

いつもお世話になっております。BRさまについてご報告させていただきます。

長男さまより「抗がん剤治療中の父が2週間ほど前に自宅前で転倒し、その後急激に動けなくなり、衰弱したように見受けられます。この先が心配なので、在宅訪問診療をお願いしたい」という依頼をいただき、訪問診療が開始されました。ステロイドを導入すると著効し、再び抗がん剤治療が可能になるまでに気力と体力が改善し、BRさまご家族さまも喜んでおられました。

しかし喜びも束の間、がんの進行に伴い、痛みだけでなく通過障害も出現し、治療効果がないと判断されBSC(ベストサポーティブケア=積極的な治療を行わずに症状緩和のみを行う)が宣告されました。BRさまは治ることを信じていましたが、現実と向き合い、私たちは気持ちを聴くこと、そして緩和ケアに努めました。

ご家族さまは残された時間を大切にされ、亡くなられる3日前には次男さまも帰省され、中央卸売市場までお正月の鯛を買いに付き添われるなど、よい時間を過ごされました。ご家族さま大勢に見守られる中、年末も差し迫った頃に、安らかに永眠されました。

長男さまからは、「25日に先生の診察を受け、父も弟も安心して買い物に行き、亡くなる前日までたばこを吸い、自分でトイレまで歩いていました。苦しむ時間は少なく、最後は眠るように旅立ちました。父を通して在宅医療について多くのことを学べてよかったです」とのお言葉をいただきました。

この度は、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

看取りの報告書を続けてきた理由

開業してもうすぐ9年が経とうとしています。これまでに多くの患者さんやご家族さんとの出会いがあり、それぞれのご家庭にそれぞれの物語がありました。私たちはその物語を大切に受け止め、新たな出会いにつなげていきます。

そして、その出会いを通じて、次の一歩へと進んでいくことがあります。
BPさまのご家族は、大切な家族を見送った後に在宅医療の大切さを感じていました。その経験を通じて、在宅サポートの輪が広がると、私は思います。

みんなが1つの体験を共有し、シェアすることで、手助けし合うことができるのです。そしてそれは、やがて大きな輪になっていきます。

私がこうして、看取りの報告書を書き続けているのも、在宅医療やサポートの輪を広げるためのひとつの活動です。

「このような時間の過ごし方がある」
「こんな準備をしておかないといけない」
「大切なことは思った時に伝えておかないといけない理由はこういうことなのか」

自分で経験していなくても、誰かの実体験を聞いて、感じて、自分の新しい第一歩にしてもらえたらという思いで書いています。

誰かの経験が誰かの支えになるにはつながりが必要

東大阪プロジェクトを立ち上げたきっかけは、患者さんやご家族さんから寄せられた声でした。

「もっと早くに出会いたかった」
「こんな在宅医療があるなんて知らなかった」
「治療を受けながらも、体調管理をしてもらいながらいろいろなことがしたかった」
「最期まで家で過ごせるなんて知らなかった。父は病院で亡くなったけど、父が『家に帰りたい』って言っていた言葉を思い出す。母は希望通り家で過ごさせてあげたい」
といった声は、多くの方からお聞きしました。

在宅医療が知られていないことで、多くの方の最後の希望が叶えられていないという現実。

それでも私たちと出会ったことで「希望を叶えられた」と言ってくださる方や、それを支えてくれた方たちが、この支援の輪を広げるために東大阪プロジェクトに参加してくださいました。

「東大阪プロジェクト」とは?自然に人と人がつながるまちを作りたい

直接的に支援してくださる方や、広報役となって多くの方に知らせてくれる方。実際に困っている方に声をかけて私たちと結びつけてくださる方。

多くのつながりによって、私たち自身だけでなく、私たちが関わるすべての人が幸せになるように。

これは、お互いにケアし合っている小さな社会であり、私たち東大阪プロジェクトが掲げているクレド(行動指針)「出会うことで動き出し共に未来を変える」をまさに体現していると感じています。

これからも地道に活動を続けて、輪を着実に広げていきたいと思います。

【今週の東大阪プロジェクト】

東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

\監修書籍の重要なポイントを動画解説/

昨年12月末に監修した書籍『急変時対応-介護スタッフのための医療の教科書』には、介護・看護スタッフに求められる一次対応から、医療との連携まで、いざという時に備えておさえておくべき情報が詰まっています。
今回、そのエッセンスをYouTube動画として、配信を開始しました!

各回5分にまとめていますので、隙間時間にどうぞ。感想もお待ちしています!

【1回5分】ズバリ解説!急変時対応 急変時とは?基本的な救命処置とは?

▼書籍のご案内

※クリックすると拡大表示されます

<< 古い記事へ 記事一覧へ 新しい記事へ >>

最新の記事

ハッシュタグ

#いばしょ #がん遺族の集い #まちづくり #コアサロン #できる看護師 #動画 #ABC放送 #ACP #ICT #NIPPV #SOAP #Webセミナー #がん患者会 #クレド #コニュミケーション #テレビ朝日 #ナルサス #ロゼックスゲル #医師への報告 #医師会 #介護支援専門員 法定研修 #看護技術 #看護師のたまご #看護師募集 #看取りのパンフレット #緩和ケア #緩和治療 #講演会での工夫 #高齢者の栄養 #告知 #在宅医療 #持続皮下注射 #終末期医療 #新人看護師指導 #新人指導 #多職種連携 #退院前カンファレンス #地域包括ケアシステム #訪問看護師 #訪問管理栄養士 #褥瘡 #東大阪プロジェクト #検診