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【看取りの報告書】BAさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

BAさまのこと
引き継がれる思い~祖母のケアをする母の姿を見て~

いつもお世話になっております。BAさまについてご報告させていただきます。
退院して一番の苦しみをお伺いしたところ「痛み」であったため、オキシコンチンを30㎎、45㎎、60㎎/日と1週間かけて増量していきました。
疼痛も消失し、娘さまと3人で買い物に出かけられるようになり、穏やかに過ごされていました。

また、ご長男さまのお嫁さまは看護師で、闘病日記を細やかに記載され、私たちにも詳細な報告を下さったことで診療の手助けとなり、症状緩和がスムーズに行えました。
お孫さまも常に診察に付き添われ、興味深く聞いておられました。

退院後1週間ほどして、頭頂部や後頭部の腫瘤、口腔内からの出血を認め、圧迫止血などで対応。
その3日後の夜に意識消失をしたとご連絡を受け、緊急往診を行いましたが、すぐに意識は回復。
ただ、最近の状態から出血傾向であり、脳転移の微少出血による意識レベル低下を来す可能性が高いことをご説明いたしました。

そして退院後2週間で、ご家族さまに見守られる中、安らかに永眠されました。

初回訪問の際に、BAさまより「長男には3人の子がいて、みんな女の子なの。実は、みんな看護師になりたがっているの。色々教えてあげてね」とおっしゃられ、嬉しそうでした。
BAさまが退院されてから約2週間と短い期間ではありましたが、その間のお嫁さまの姿は、母であると同時に、看護師志望のお孫さまたちに、思いを引き継いでいらっしゃるように感じました。

この度は、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
私は子どものころ、自営業の家に育ちました。
そのため、自営業の良い面も苦労した面、両方を子供ながらに見て感じてきました。
そして、おそらく自営業の人と結婚するんだろうなーと思っていました。
それは、趣味のように働く仕事好きの父親の姿を見てきたからだと思います。
看護師になり、大病院に務め、そして今、夫である院長とクリニックを経営していますが、そのときの思いが現実になっています。
大変な毎日ですが、またそれも心地よいと思いながら、日々を送っています。

「子どもは親の背中を見て育つ」という言葉がありますが、どうやら本当のようです。
マサチューセッツ工科大学の研究チームが行った実験によると「子供たちに一生懸命な姿を見せることで、子供たち自身も物事に一所懸命に取り組むようになる可能性がある」そうです。

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「親の背中が何なのか?」が見えてくる。
親の働く姿を見たことが「ある」と回答した子供が、なりたい職業が「ある」と回答した割合は53.2%。見たことが「ない」と回答した子供の割合は42.0%となり、見たことが「ある」子供が10ポイント以上、上回る結果に。
同調査ではさらに、「働いている親を見てどのように感じているか」も聞いている。あんな大人になりたい(なりたい+どちらかと言えばなりたい)と回答した子供の割合は、父親の場合では47.2%、母親の場合では48.8%と父母とも約半数。

引用:
「子どもは親の背中を見て育つ」という言葉、調べてみたら本当だった!?|@DIME アットダイム
https://dime.jp/genre/589774/
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私たちが行っている緩和ケアは、人生の最終段階の方のケアです。
「ありがとう」と感謝を述べられることもありますが、決して楽な事ではありません。
「何で私がこんな病気にならなきゃいけないの」「私、死ぬの嫌」と苦しみを直接ぶつけられ、受け止め切れず、逃げたくなることもあります。

緩和ケアの要となるのは、患者さまの「死」と向き合うこと。
患者さまの苦しみをしっかりと聴き、よき理解者となって穏やかになれる支えを一緒に探すこと。
それによって、患者さまだけでなく、支えるご家族も死に向き合うことが出来るのです。

BAさまの場合、ケアの中心は元看護師であったお嫁さまが担い、それを3人のお孫さまが支えてくれました。
緩和ケア病棟で働いたことがないとおっしゃっていたお嫁さまでしたが、BAさまに向かう姿勢が誠実でした。
お嫁さまの促しによって、フットケアやトイレ介助を行うお孫さまの姿は微笑ましく、BAさまも技術力ではなく信頼という絆で委ねておられました。
そして、私に「まだまだでしょ、これから色々指導してあげてね。あなたや母さん(お嫁さま)みたいな看護師さんになりたいのよ、あの子たち。私を通して何かを感じて、そしてこれからの役に立てて欲しいわ」とポツリと、穏やかな表情で話されました。

死はいずれ、誰にでも訪れます。
死を負の感情ではなく、肯定的な感情とするために選択肢の一つとして、在宅看取りがあります。
「よい看取り」の実現はポジティブ感情の経験につながり、死に肯定的な意味を見つける場として機能するのではないでしょうか。

「よい看取り」のために、在宅チーム一丸となって、患者さまや家族さまが穏やかな時間を過ごせるように支援を考えていきます。

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

[お知らせ・第29回布施緩和ケア研修会・布施医師会主催(参加費無料)]
講演会のご案内です(布施医師会主催)
医療・介護に関わる職種の方でご興味をお持ちの方は、お申し込みください!
申し込み後にウェビナー登録があり、登録完了後にURLが届きます。


※クリックするとPDFをご覧いただけます

【お申し込み】
https://17auto.biz/fuseishikai/registp/entryform12.htm

第29回布施緩和ケア研修会・布施医師会主催
「地域連携」を取り上げ、互いの職種を知る×緩和ケアと題し、市立東大阪医療センター緩和ケア内科部長進藤喜予先生に基調講演をいただき、ディスカッションを行います。
地域制限はありません。
お気軽に申し込みください!

講師:市立東大阪医療センター緩和ケア内科部長 進藤喜予先生
日時:令和4年12月3日(土)17時から19時(16時45分開場)
場所:オンライン(Zoom)(200名)
参加費:無料

★チャンネル登録お願いします★

東大阪プロジェクトでは、医療介護従事者だけでなく地域包括ケアシステムに関わる皆様に役に立つ情報提供を行っています。
「チャンネル登録」していただければ幸いです。
東大阪プロジェクト 公式チャンネル

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