「新潟医療福祉大学リハビリテーション学部作業療法学科」にて講義を行いました
こんにちは。看護師の川邉綾香、院長の川邉正和です。
東大阪のご出身というご縁もあり、新潟医療福祉大学教授 今西里佳先生からのご依頼を受け、リハビリテーション学部作業療法学科にて講演を行いました。
今西先生の想いは、
「今後、作業療法士が地域医療の関係職種とどのように連携していけばよいかを考えるにために、まず、訪問診療を行う医師の役割や業務内容を知る必要がある。
また、今後間違いなく、がんを罹患している患者さんを担当する作業療法士・理学療法士が増えていく。
だから、『がん×訪問診療』というキーワードで、具体的な業務内容を含め、講義をお願いしたい」
とのことでした。
がんのリハビリテーション医療は、がんやがんの治療による体への影響に対する回復力を高め、残っている体の能力を維持・向上させるために受ける医療です。
これまでリハビリテーション医療は、脳疾患などに対して行われてきましたが、がん治療の中でも重要な役割を持つようになってきています。
リハビリテーション医療はがんと診断された直後から受けることができ、緩和ケアの一環として、心と体のさまざまなつらさに対処する目的でも行われています。
今回は「地域医療の関連職種の役割~在宅看取りの支援・終末期ケア」をテーマに、オンラインでの授業を担当させていただきました。
はじめに、
『コロナ拡大に伴い病床が逼迫する中、在宅訪問診療、特にがん患者さんに及ぶ影響』
から講義をはじめました。
私たちが願うことは、
「患者さまには、コロナ禍であっても人生の最終段階を穏やかに過ごして欲しい」
ということ。
そして、
「積極的に自宅での療養を選択されても、消極的に自宅での療養となったとしても、患者さま、ご家族さまが安心して、穏やかに過ごせるように、今までと変わらず診療に当たっている」
ということ。
次に、
「実際の在宅訪問診療を知っていますか?」
「人が亡くなる瞬間に立ち会った経験はありますか?」
と問いかけてみました。
ほとんどの学生さんが、経験がありません。
まさしく、このふたつをリアルに感じてもらうため、2019年12月にABC放送の特集で取り上げられたかわべクリニックの訪問診療の様子を視聴してもらいました。
こちらに出演していただいた渡邊さんは「在宅医療が広まるように、そして、がんでも自宅で最期まで過ごせることを、私を通じて多くの方に知って欲しい」とおっしゃってくださいました。
この動画を振り返りながら、訪問診療(在宅医療)について、説明を加えていきます。
・訪問診療と往診の違い
・対象となる方
・訪問のエリア
・在宅医療の良さ
・費用の目安
など
続いて、訪問看護の役割について。
基本的なところから、よくあるご質問まで。
そして、訪問リハビリテーションについて。
講義を行う上で、事前にかわべクリニックと関っていただいている作業療法士、理学療法士の方と色々とお話をしました。
そして未来のセラピストのために、現職セラピストのやりがい、悩み、そして、メッセージをいただきました。
ある理学療法士からの
「自分自身がやりたいことをするのではなく、誰が真ん中なのかを忘れないセラピストになって欲しい」
という言葉を、学生にしっかりと伝えました。
最後にまとめとして、医療者としての心得をお話。
在宅看取りの支援だけでなく、日常生活において、友人関係、職場関係、夫婦関係、親子関係の中でも共通する大切なテーマが、
「苦しんでいる人は自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」
です。
そのために問います。
「本当に、苦しみを聴けていますか?」
オンラインでの講義終了後、アンケート結果・感想を拝読いたしました。
どの感想を読ませていいただいても、こちらの思いが十二分に伝わったと感じられ、喜びもひとしおです。
そのうちのいくつかを、こちらでもご紹介させていただきます。
・対象となる方はどのような方なのか、在宅医療の良いところを知れてとても勉強になりました。
よくある質問の項目で疑問に思っていた様々なことが知れてわかりやすかったです。
訪問リハビリに少し興味があったので,間接的ではありましたが、実際に働いているセラピストさんのやりがいや悩みを聞けて良かったです。
常に悩みの一つであるコミュニケーションについても聞けてとても勉強になりました。
・入院との違いやどのようなメリットがあるのか、とても聞きやすく話してくださったので、在宅訪問治療いいなって思った。
私の祖母も自宅での治療を望んでいる話を母親から聞いたことがあり、在宅訪問診療が有ればよかったなって思った。
・訪問診療はコロナ禍で需要が増加している制度であること、利用できる対象者や注意点を理解できました。
最後に学んだ傾聴方法を日々の生活に役立てることは勿論のこと、実習でも活用できるように意識していこうと思います。
365日24時間体制で自宅に訪問するという地域との繋がりがより深い医療を学ぶことができて良かったです。
・今回の講義を聞いて、在宅医療のイメージが変わりました。
実際の訪問のセラピストのやりがい、悩みを聞くことができて具体的にどのようなことを行うのかが理解できました。
対象者の話をしっかり聞くことが大事だと分かり、実習から意識していこうと思いました。
・今回の講義を通して、在宅医療は「その人らしさ」の尊重や患者のニーズに沿うという面でとても重要な役割を果たすということがわかった。
その人の人生で最後に関わる人物の一人になるという責任は伴うが、だからこそ家族や他職種などの他者との連携を密にしてその患者を支えるということが重要であると思うし、その人にとって最も必要なことは何かを念頭に置きながら医療を提供することが重要であると感じた。
・その人が幸せな最期を迎えるためのお手伝いをするということが、訪問リハビリの魅力なのではないかと考えた。
自分の考えを押し付けるのではなく、対象者をいちばんに考え、苦しみを理解する姿勢であったり、話を聴く姿勢であったりがとても大切だと感じた。
私も医療の現場に限らず、普段から傾聴する姿勢を大切にして周囲の人たちと関わっていきたいと強く感じた。
心に響く講義をありがとうございました。
・苦しんでいる人は、自分の苦しみを分かってくれる人がいると嬉しいという部分と、医療・介護従事者に多いブロッキングについて新たに知る事が出来た。
多職種よりも対象者と綿密に関わる事の出来る作業療法士において、非常に重要な考えである事に加え、意識する事でより良い関係の構築が出来ると感じた。
みなさまの熱い思いを感じ、私たちの言葉を理解していただけた講義になったと思います。
そして、オンラインではなく、対面で授業できる日を楽しみにしています。
最後に…
確認のテストです。
皆さんもチャレンジしてみてください!
b. 訪問リハビリテーションについて、以下の解答肢から誤りを1つ選べ。
1) 患者さんの主治医が「訪問リハビリテーションサービスの利用が必要」と認定した
方を対象としたサービスである
2) 訪問リハビリテーションは、主治医が認めれば誰でも使えるサービスである
3) 要支援(1・2)の方は訪問リハビリテーションの対象外である
4) 訪問リハビリテーションで働くセラピストの基本的な業務は、日常生活のリハビリテ
ーションである
5) 訪問リハビリテーションで行うのは、中長期的なリハビリとなる
いかがでしょうか?
b.
1) ○
3) ○ 要支援(1・2)の方は介護予防訪問リハビリテーションの対象
4) ○ 5) ○
2) × 患者さまが要介護認定(1〜5)に認定されていること
今年度は、医療介護福祉職だけでなく、職種をさらに広げ、リアルに顔の見える関係を築く一年としていきます。
【今週の東大阪プロジェクト】
【がん疼痛×緩和ケアセミナーin中四国(参加費無料)】
下記の通り講演会を開催します。
地域制限はございません(医療従事者の方限定)
>お申し込み
https://collaborate.webex.com/collaborate-jp/j.php?RGID=r80f01d518236899acd7dbd99d9b1bc49
座長:高知大学医学部 教授 河野 崇 先生
演題1:がん疼痛へのアプローチ-オピオイドを上手く使いこなすために-
演者:齋藤 洋司 先生
演題2:がん患者のトータルケア〜援助的コミュニケーションについて〜
演者:川邉綾香
日時:令和4年9月10日(土)13:30〜15:00
場所:オンライン(Webex)
参加費:無料
新たな出会い・学びとなれば幸いです。
是非、ご参加ください。
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