第27回布施緩和ケア研修会(オンライン)を開催しました。
令和4年2月12日(土)に、「第27回布施緩和ケア研修会・総会」を開催いたしました。
コロナ禍以前は年度末の総会ということで大きな会場での開催でしたが、第6波が終息を見せない中、オンラインでの開催となりました。
ただ、オンライン化により、日本全国各地よりご参加いただけるようになったことが、何よりの救いかもしれません。
以前からお伝えしておりますように、布施緩和ケア研修会は、医師や看護師などの医療職に加え、介護職など多職種に門戸を広げています。
今回も、司会は東大阪プロジェクト代表の福村雄一先生(司法書士)が担当。
受講者は、医師29名、看護師131名、保健師2名、薬剤師11名、管理栄養士5名、介護支援専門員25名、MSW7名、社会福祉士4名、その他、総勢286名でした。
多くの方に興味・関心のある「認知症と緩和ケア」がテーマであったこと、また同分野のスペシャリストをお招きしての講演であったこともあり、布施緩和ケア研修会としては、今までで一番多い参加者数となりました。
第一部は、「認知症の緩和ケア、意思決定支援」と題して、国立がん研究センター先端医療開発センター 精神腫瘍学開発分野長 小川朝生先生に講演をいただきました。
簡単に配布資料をご紹介させていただきます。
※クリックすると資料をPDFでご覧いただけます。
事前の打ち合わせで、小川先生から
「認知症のケアというと、何をしてよいのか分かりにくいと思われがちです。
しかし、認知症の人の困り事を知り、認知症の人の世界観を知ることにより、求められる支援やケアを一緒に考えていきたいと思います。」
というお話を伺いました。
ヨーロッパでは緩和ケアの中心が、がんから認知症に移行していること
認知症の生命予後が平均4.6年程度であること
などの基本的な認知症の知識整理から始まり、
①どうして意思決定支援が議論されるのか
②意思決定支援のノーマライゼーション(合理的配慮)
③わが国での認知症領域における取り組み
④認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン
⑤認知症の人の意思決定支援ガイドラインのその先
についてご講演いただき、普段のケアの中でも、本人が何を望んでいるかの背景を考え、そのために「聴く」ことから始めることの大切さを改めて学べる、奥深い講演となりました。
第二部は、「グリーフケア・スピリチュアルケア」と題して、市立豊中病院緩和ケアセンター特任顧問 柏木雄次郎先生に講演をいただきました。
簡単に配布資料をご紹介させていただきます。
※クリックすると資料をPDFでご覧いただけます。
「グリーフケア」と「スピリチュアルケア」について、具体的な症例を交えながら、その概要をお話いただき、これらのケアを行う際の我々医療介護従事者がとるべき患者さま・ご家族さまとの関係性や基本姿勢について、ご教授いただきました。
「グリーフケア」では、医療者が陥りがちな助言・指示を積極的に示すのではなく、余りにもつらい訴えには誠実な沈黙の方が有効であるなど、明日から活用できるポイントを数多くいただきました。
詳しくは、研修会終了後に参加者のみなさまからいただきました多数のアンケート結果にも記載されています。
そのうちのいくつかを、こちらでご紹介させていただきます。
一読していただくだけでも学びになります。
ぜひ、ご覧ください。
・がん相談に従事しています。意思決定と言うところは課題であり、皆様悩まれているところです。また医療者へ遠慮があって聞けない現状もあるようです。先生方の教えを考えながら関わりをもっていけたらと感じています。
・認知症の方にも余命があることは初めて知りました。まだまだ緩和医療に関心が薄いと感じる日々の中、傾聴の姿勢また実施されている、是非病院の医師にも聞いても らいたい!と思いました。私も学びを深めそれを伝えられるように継続した学びを続けて行きたいと思いました。
・テーマを具体的にまとめていただきありがとうございました。認知症患者さんへの意思決定支援について考える機会が多く、今回のテーマを楽しみにしておりました。
・何度も繰り返し聞くことで、対応の質向上に繋げるので納得と振り返りをしながら聴きました。即実践に役立てて 行くことができるので、とても勉強なりました。
・在宅でみている方で認知症の方は多く、意思決定についてはとても悩ましい問題なのでとても勉強になりました。また、普段終末期の方に関わることが多く、亡くなられた後もご家族に対して、手探りでグリーフケアを行なっているのでとても参考になりました。
・意識決定に関する小川先生の講演は持っていた認知症のケアの概念が変わりました。より良いケアのために学びが必要と感じました。柏木先生のグリーフケアの講演では、実際の出来事を交えた内容で書面での学びだけでは得られない心に残り実践につながる内容でした。
・小規模多機能事業所で勤務しています。日々認知症の方と過ごす中、抱えられている不安の大きさに心を痛めています。ご本人に対して理解可能な言語でお伝えするというスキルを磨くよう、もっと学びを深め実践していきたいと感じました。
・沈黙もですが、待つ支援も時には大切だと思っています。時が解決してくれることもありますし、相手のペースにのって支援をする はとても大切ですね。でも、待ちながらもチャンスを逃さない、そんな支援もあろうかと思います。緩和ケアに限らず、どの支援においても今日のお話は勉強になりました。寄り添う、限られたケアの時間で寄り添う、もっと もっと現場の専門職は学ぶ機会を作る必要があるなと改めて感じました。
・○○ ✖ 緩和ケア というテーマの展開がとても興味深い。
緩和ケアに、職種の境はありません。
想う気持ちは同じです。
次回は、「地域で関わる多くの職種、多職種連携」と「緩和ケア」の掛け合わせをテーマにいたします。
ぜひ、ご参加ください。
【第28回布施緩和ケア研修会(オンライン)】
日時:5/7(土)17:00~19:00
定員:200名程度
対象:医療介護に関係する方ならどなたでも(地域制限はありません)
タイトル:
貴重講演:地域緩和ケア〜その方らしく、穏やかに〜
医療法人社団澄乃会 向日葵クリニック院長 中村明澄先生
シンポジウム
座長:奈良県立医科大学附属病院 松本静香
シンポジスト:松家まゆみ、坂東亞衣子、本めぐみ
【申し込みフォーム】
https://17auto.biz/fuseishikai/registp/entryform10.htm
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