世のため人のためを考える 〜ソーシャル企業認証(S認証)を受けました!〜
このたび、かわべクリニックおよび東大阪プロジェクトは、「ソーシャル企業認証(S認証)」を受けました。
------------------------------------------------------------------------
ソーシャル企業認証制度 S認証とは
ESG経営や社会課題の解決を目指す企業に対し、経営方針や事業内容、社会的インパクトなどを基準に、評価・認証を行う制度です。企業活動の社会的インパクトをみえる化し、社会課題に取り組む地域企業の成長を支えることで、地域社会におけるソーシャルマインドの醸成及び持続可能な地域社会の実現を目指します。また、認証制度を軸とした企業・消費者のエコシステムを構築し、地域経済の持続的成長に繋げます。
評価・認証結果について
「経営方針」「世のため人のために取り組むこと」「地域社会や地域の人々に与える影響」など、企業理念や企業活動、企業活動の成果、社会的に影響を与えた内容等に基づいて評価が行われます。評価・認証結果は、ソーシャル認定企業の公表やソーシャル認定企業のコミュニティ形成などへの活用も視野に入れられています。
------------------------------------------------------------------------
この制度を申請し認証を受けるにあたり、クリニックの開院から現在、そして東大阪プロジェクトを含めた未来に向けて考える良い機会になりました。
申請書に記載した内容をもとに、ここで少し振り返ってみます。どうぞお付き合いください。
当クリニックの理念など
企業理念及び事業において大切にしていること
がんと付き合う患者さまが抱く、“最期は自宅で”という思いを支援し、病院と同じような療養生活が送れるように医療サポートさせていただきます。
また、患者さまだけでなくご家族の抱える不安の対応や、後悔のないように患者さまやご家族が無理なく介護できるようなサポートも行っていきます。
最期まで笑顔を絶やさず、心の通う医療を行います。
事業内容について(企業の歴史なども含めて)
理事長である川邉正和は、大阪赤十字病院に呼吸器外科医として勤務し、2015年に在宅医療支援「かわべクリニック」を開院しました。
病院で経験した入院患者さまの「最期は自宅で」「自宅に帰りたいと思った時が退院する時」という希望をかなえるため、少しでも役立てればという思いが、開院のきっかけとなりました。
看護師である川邉綾香は、大阪赤十字病院でがん患者さまの看護を行う一方で、緩和ケアを中心としたがん終末期治療の看護を学びました。
「がんと診断された時からの緩和ケア」をと言われていますが、急性期病院ではがんに対する積極的な医療を行うことが第一優先のようになっている状況にありました。
患者さまの希望、段階に合わせた治療・ケア、療養ができるように援助させていただきたいと思うようになり、川邉正和と共に在宅医療の道に進む決意をしました。
がんと診断された時から緩和ケアは始まります。かわべクリニックでは、その人が望む生活やその人らしさの実現を目指したケアができるように努めています。
2019年には、朝日放送キャストにて在宅訪問診療の密着取材を受けたこともあり、往診対象エリア内外から多くの依頼を受けるようになっています。
当クリニックでは、がんの緩和ケアに特化しており、がん性疼痛管理や症状緩和、その他、経管栄養・中心静脈カテーテルの管理・在宅酸素の管理・人工肛門の管理などを行っています。
2020年は新型コロナ感染症流行に伴い、在宅での看取りを希望される方が増え、年間で94名の方をご自宅でお看取りさせていただきました。
社会課題解決に向けた取組
●地域・社会
解決する社会課題:地域資源の活用
具体的行動内容:地域包括ケアシステムの充足
● 医療・福祉
解決する社会課題:地域資源の活用
具体的行動内容:特化型医療の提供
“世のため人のため”に実践していること
解決しようとする社会課題とそれに取り組むきっかけや動機
これからの日本には「多死時代」が訪れます。
特に団塊の世代がすべて後期高齢者を迎える2025年には、年間に150万人が亡くなることが推定されています。
今まで病院で最期を迎えていた人達が病院で最期を迎えることが難しい時代が来ることを想定し、地域包括ケアシステムがうたわれてきました。
しかし、ひとつのクリニックで出来る事は限られます。
そこで患者さまを中心に医療、介護の両面を把握できる、看護師を主体としたフラットな在宅チームを地域で作ることが必要だと、私たちは考えました。
そのチームには、医療・介護職に限定せず、多職種、つまり文字通りひとつでも多くの職種が関わること、そのようなシステムの構築を目指しています。
このシステムの構築のため、2018年から「出会うことで人が動き出しともに未来を変える〜穏やかなエンディングを〜」をクレドとした「東大阪プロジェクト」を立ち上げ、司法書士である福村雄一先生を代表とし、活動を行なっています。
●東大阪プロジェクトとは
東大阪プロジェクトとは、患者さまを中心に医療、介護の両面を把握できる看護師を主体としたフラットな在宅チームを地域で作ることを目的とし、その輪は医療・介護職に限定せず、多職種、つまり文字通りひとつでも多くの職種が関わるシステムの構築を目指すプロジェクトです。
そのための旗印・クレドとして、「出会うことで人が動き出しともに未来を変える〜穏やかなエンディングを〜」を掲げています。
私たちがはじめに取り組んだことは、開催する研修会を出来る限り全ての職種が参加できるようにしたことです。
これは医療職向けだから、介護職向けだからといった境は、患者さま、ご家族さまにはありません。
医療職は介護のことを学び、介護職は医療のことを学ぶ。
すると、なぜ医療職がそのように考えたのか、介護職がそのような行動をとったのかなどが理解できるようになります。
また同じ研修会に参加することで顔の見える関係性を自然と築くことができます。
何より分かり合える部分が増え、結果的に患者さま、ご家族さまにとって大きなメリットとなります。
つまり東大阪プロジェクトの研修会に参加することが、大きな出会いとなり、次の一歩へと動き出して一緒になって未来を変えていくことに繋がっていきます。
東大阪プロジェクトでは、以下の3つを軸に活動を行っています。
1)今、まさに必要な世代のために「エンドオブライフ・ケア研修」
今後多死社会を迎える日本では、病院で最期を迎えることが当然のことではなくなり、自宅や介護施設で最期を迎えることは増えてきます。
となると、死というものが病院内だけのものではなくなります。
現在の状況で、果たして人生の最終段階を迎えた人、死を前にした人に私たちは何ができるでしょうか。
安易な励ましは通用しません。
これからの時代に必要とされる看取りの対応について、誠実に対応できるようになるための研修会が、「エンドオブライフ・ケア研修」になります。
参照:エンドオブライフ・ケア協会
2)これから必要ないしはひとつ上の世代を介護する世代のために
「アドバンス・ケア・プランニング研修(縁起でもない話をしよう会)」。
自分自身や家族が医療・介護を受けたことがきっかけで地域包括ケアシステムを知り、医療、介護について学び、考える人がほとんどです。
そのため当事者になって初めて、すぐに多くのことを決めなければならなくなるため、「もっと早くから考えておけばよかった」と後悔する人も多くいます。
自分の想いはあなたの大切な人に伝わっていますか。
何かのきっかけがあると、それを元に大切な人に話をすることができるかもしれません。
そのきっかけのひとつがこの「縁起でもない話をしよう会」です。
これは毎回、話題提供を行い、その話題を元に数名のグループに分かれ、自由に語ってもらう会です。
たとえば、「あなたは人生の最後に何を食べたいですか?」という問いを立てると、その食べたいものへの想いから、人生を振り返り、時には感謝の気持ちを思い起こす人もいます。
またこの先どのように生きていきたいかを考えるきっかけにもなります。
アドバンス・ケア・プランニングというと、「心肺蘇生しますか、人工呼吸器を装着しますか」などといった医療側からの一方的な問いになりがちです。
ここで話し合うのは、そのような医療的なことではなく、自分自身の死について普段からどのように考えているのかを大切な人と共有しておくこと、つまり縁起でもないけれど、大切な話です。
3)次世代(子どもたち)のために「いのちの授業」。
コロナ禍となる前は、小学校高学年の児童に90分ひとコマで授業を行なっていました。
現在はオンラインで行なっています。
これは単に、いのちの大切さを頭で理解するためのものではありません。
決して平坦ではないこれからの人生を生きて行く私たち一人ひとりが、解決困難な苦しみを抱えたときに、具体的な行動として何ができるか。
それぞれの立場で感じ、考える授業です。
こちらもエンドオブライフ・ケア協会の「折れない心を育てるいのちの授業プロジェクト」の一環として行なっています。
東大阪プロジェクトは、クリニック単体では何もできません。これらの活動を通して、「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える~穏やかなエンディングみんなで~」という世界観に共感してもらえる仲間を増やしています。
人が集う場所や人が集う機会を作り、共通の目的に繋がる問いを立て、そこで出会った人同士が共感のもとに動き出し、解決に向かうことを目標とし、日々活動を続けています。
●東大阪プロジェクトの先にあるビジョンについて
医療職、介護職だけでなく、関連産業すべてが関われる「HOPE(Higashi Osaka Project + Enjoy/Enter)」という法人の設立を目指しています。
高齢者を例にあげたとしても、いろいろなニーズがあります。
まだ動けるうちに楽しみつくしたいといった想いに対して、旅行サービス業、宿泊業などが関わります。
思い残すことのないよう、穏やかに過ごしたいといった想いに対して、衣食住の充実が求められ、食事デリバリー業、エンターテインメント鑑賞業などが関わります。
自分らしく、尊厳ある最期を迎えたいといった想いに対して、信託銀行が行う遺言信託、遺品整理業、葬儀プランニング業などが関わります。
まだまだ進んでいない医療介護系以外の「生ききる」関連産業との、スムーズな連携を行なっていきたいと考えています。
◉今後の講演会・研修会・学習会
▶︎第17回ELC東大阪学習会 2021年9月30日
▶︎縁起でもない話をしよう会・第10回 東大阪プロジェクト 2021年10月9日
▶︎第18回ELC東大阪学習会 2021年10月21日
▶︎栄養×緩和ケア講演会・第12回東大阪PJ(大塚製薬工場共催)2021年10月30日
[申し込み] https://88auto.biz/higashiosaka/touroku/entryform7.htm
▶︎排泄×緩和ケア講演会・第13回東大阪PJ(EAファーマ共催)2021年11月13日
[申し込み] https://88auto.biz/higashiosaka/registp/entryform8.htm
▶︎第5回ACP×司法書士 2021年11月20日
▶︎第3回在宅医療学会(シンポジウム)2021年11月28日
・医療介護の枠組みを超えた実効性のある多職種連携の構築とその活動について(福村雄一)
・緩和ケアの真髄を目指した地域医療と多職種連携のネットワークづくり(北村愛美)
・すべてをコーディネートできる看護師の育成(川邉綾香)
▶︎皮膚ケア緩和ケア講演会・第14回東大阪PJ(マルホ共催)2021年12月18日
[申し込み] https://88auto.biz/higashiosaka/touroku/entryform4.htm
これからも自分に問い、考え、実践し続けていきます。
今後ともご支援のほど、お願いいたします。
最新の記事
ハッシュタグ