【看取りの報告書】AEさまのこと
クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。
今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。
いつもお世話になっております。AEさまについてご報告させていただきます。
先生からご連絡を受けた翌日にAEさまと再会。
4年前とは変わり果てた姿に驚いたものの、以前と変わらない笑顔で出迎えてくれました。
病状を聴取する中で急激に悪化していることを感じ、毎日の訪問としました。
週明けの月曜日には、ご本人も「しんどさがどんどん増している」と弱音を吐かれ、その言葉通りに病状は悪化。
息子さまを担当したケアマネとも連絡を取り、その日の午後に介護ベッドを導入。
金銭面の不安もあったため区分変更申請を代行で依頼しました。
水曜日には、残された時間が更に短くなったと判断し、AEさんにとって心配なことは何か、どのような状況が穏やかであるのかを確認。
心配なのは、愛犬「くるみ」の今後のことでした。
その気持ちを受け、午後より司法書士と面会を段取りし、希望を全て伝えていただきました。
木曜日には、ほぼ臥床状態で傾眠傾向となったことから、お姉さまとご近所の友人に今週末の可能性があることをお伝えしました。
ご本人にとって、愛犬とこの家で過ごすことが穏やかな最期となるのではないか。
その希望を叶えてもらうことはできるかを確認したところ、お姉さまが最期まで一緒に過ごし、ご友人が散歩を担当してくれることとなりました。
そして、無事遺言書を作成。
金曜日、美容師として身なりを常に意識されていたAEさまに洗髪・清拭を行い身綺麗に。
介護認定、区分変更が済み、一部負担金減免の手続きも済ませ、全てが整った安堵感なのか…。
その日の夜、トイレに行きたいけど行けない。
その時に彼女の心は折れ「今日は念のためオムツにしておく」と。
そして、翌土曜日の早朝に、永遠の眠りにつかれました。
AEさまは最期に「後悔は何一つない」とおっしゃった。
その言葉に、強い意志を感じました。
ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
[ケアを振り返って]
4年前に40歳で息子さまが癌と診断を受け、積極的な治療は希望しない、自宅で最期まで自由に過ごしたいという希望でかわべクリニックをご紹介いただきました。
息子さまとは2ヶ月程の関わりで、自宅でお看取り。
別れ際に「先生、私の時もよろしくお願いしますね」と言われたが、その時は60代半ばでご病気はなく健康でした。
運命というものは残酷だけれど、また出会うのも運命です。
AEさまの置かれていた状況を知っていた私は、「彼女の『今』」を見ることも大切だけれど、『一歩先』が心配になったのです。
このまま穏やかに亡くなれるのか?
それは身体的という意味ではなく、全人的ケアができているのだろうか?と考えました。
一人暮らしのAEさま、そばには愛犬。
犬はどうなるのか?家は?お店は?次々と疑問が湧いてきました。
同時に、彼女もその問題をどう考えているのか、知りたくなったのです。
彼女は、私の得意分野である医療とは違う苦しみを話してくださった。
そこで私は、彼女のその苦しみを解決してくれるのは「東大阪プロジェクト」の仲間である司法書士だと考えました。
そして限られた時間の中で出来ることを行い、彼女は穏やかな表情で「ありがとう」と言葉を残し、旅立ちました。
今までにも医療と介護の多職種連携が大切であると言われていましたが、私は医療介護だけではない他・多職種連携も大切だと本当に感じています。
人生の最終段階において、関わる人は医療介護だけではありません。
穏やかなエンディングを、これまでの人生に関わったすべての人々で支えることが重要です。
互いに、尊敬・尊重し合い、ベクトルを合わせ、ひとつのゴールに向かい力を合わせること。
まさしく東大阪プロジェクト
「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える ~穏やかなエンディングをみんなで~」
この言葉に尽きるのではないか、と思うのです。
クリニック×司法書士
【看取りの報告書 バックナンバー】
・ADさまのこと
・ACさまのこと
・ABさまのこと
・AAさまのこと
・Zさまのこと
・Yさまのこと
・Xさまのこと
・Wさまのこと
・Vさまのこと
・Uさまのこと
・Tさまのこと
・Sさまのこと
・Rさまのこと
・Qさまのこと
・Pさまのこと
・Oさまのこと
・Nさまのこと
・Mさまのこと
・Lさまのこと
・Kさまのこと
・Jさまのこと
・Iさまのこと
・Hさまのこと
・Gさまのこと
・Fさまのこと
・Eさまのこと
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと
最新の記事
ハッシュタグ