一歩先を見た行動が大切!
こんにちは。看護師の川邉綾香です。
今回の記事では、ある患者さまのケースから、「一歩先を見た行動とはなにか」を考えてみたいと思います。
妻との二人暮らし6カ月前に大腸癌、肝転移との診断。
手術及び術後に抗癌剤内服治療を開始。
2カ月が経過し、副作用による下痢、倦怠感、衰弱が著明となり、本人の希望もあって内服は中止となる。
通院困難となったことから、在宅訪問診療が開始となる。
ある晴れた春の日に初回訪問。
Aさまは長年、ラジオ体操をしており、体力があることが自慢で、自宅には数々の表彰状が飾られて、地域の活動にも積極的に参加。
何でも自分でしてきたと自負されていました。
一方、奥さまは夫の一歩後ろを歩くような物静かな方でした。
初夏を迎えた頃には、腹膜播種による腹満、下肢浮腫が増強し、食欲も落ち込み、急激にADL(日常生活動作)が低下。
それでも、「ベッドはいらない、ゆっくり動いたら自分で出来る」と言われ、介護保険の申請も手付かずのままでした。
そこから2週間が経過した土曜日の午後。Aさまから連絡があり、
「先生、ごめん。しんどい、ベッドを入れて欲しい。立てなくなってしもた」
土曜日でも迅速に対応してくださるケアマネージャーさんに連絡をとり、その日のうちに介護用ベッドを導入。
週明けに介護申請の手続きをする運びとなりました。
その後、つつがなく2週間が経過。
誰かに何かをゆだねることを嫌がっていたAさまでしたが、奥さまの身体的な負担も考慮して、ヘルパーさんの介入を希望され、入浴介助をお願いすることになりました。
しかし、介助開始の2日前、看護師が訪問した際には状態が悪化しており、到底入浴はできないと判断。
ケアマネージャーさんに報告し、ヘルパーさんには清拭、寝衣交換などの身体介助に変更をお願いしました。
ヘルパーさん介入当日の午前中に、クリニック看護師が訪問。
前回訪問時よりも臥床時間は更に長くなり、食事摂取は出来ておらず、水分摂取もままならない状態。
奥さまは内服の介助はしてくださっていましたが、身の回りのお世話という点では、奥さまの疲労が顕著であり、限界に達していることが見受けられました。
今、私たちが支えるべきは奥さまです。
奥さまの負担を軽減するためにAさまのケアを行う必要があると、訪問時にアセスメントしました。
同日14時にケアマネージャーさんよりAさまのことで連絡あり。
ヘルパーさんが介入する初日で、ケアマネージャーさん同席するため、病状確認の目的電話でした。
「今日の午前中の様子はどうでしたか?教えてください」
このケアマネージャーさんの質問の意図は何だと思いますか?
さぁ、みなさんならどのように返事しますか?
わたしが考えるヒントを先に…
ここで求められているのは
「今日の体調は…、バイタルは…」などといった医療者(医師・看護師)が医療者に対して申し送る内容でしょうか?
もちろん、身体的な変化をお伝えすることは大切ですが、ここでの質問の『意図』は、これから訪問するケアマネージャーさんが、Aさまの介護プランは2日前に作成したものでよいのか、それとも変更した方がよいのかを確認したかったのではないでしょうか?
だから、私たちは最新の情報を共有して、よりAさまとご家族さまに合った、個別性のある具体的なものにする必要があるのではないでしょうか?
私が「連携」において大切にしていること、それは
迅速な報告、相手の動きを把握した動き、一歩先を見た行動それが重要
自分を主語にするのではなく、相手を主語にして「何を求めているのか」を考えた会話にすることが、コミュニケーションを円滑にします。
それでは、わたしの報告(答え)です。
週明けより更に、ADLは低下し、寝ている時間が長くなっています。
ただ、辛うじて、Aさまが奥さまの肩を借りてトイレまでは歩いていますが、ギリギリの状態です。
だから、依頼していた入浴介助は難しいので清拭をお願いしたいです。
尿失敗もしてシーツも汚染されたままでした。
奥様は、内服介助はしてくださっていますが、室内の環境調整にまで気が回っていない様子で、身の回りのお世話という点では、奥さまの疲労も顕著であり限界に達している様子でした。
奥さまの介護負担軽減のためにも、週2回のヘルパーさんの介入を毎日1回でもいいので介入をお願いしたいと思います。
大切なことなので、もう一度繰り返しておきます。
職種は違うけれど、大切なのは患者さま、ご家族さまを支えること。
そのために、同じ方向を向いて、それぞれの得意分野を活かしたケアを提供することが必要です。
そして、そのための情報共有なのです。
迅速な報告、相手の動きを把握した動き、一歩先を見た行動それが重要
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