第18回布施緩和ケア研修会を開催しました
こんにちは、医師の川邉正和です。
9月14日(土)に布施医師会館にて、ELC協会ファシリテーターの北村愛美先生をお招きし、「第18回布施緩和ケア研修会」を開催いたしました。
受講者は医師3名、看護師22名、ケアマネージャー7名、管理栄養士2名、その他を含めて総勢40名。
会場設営ではグループワークを行なうためテーブルをなくすなど工夫し、盛り上がった2時間になりました。
本研修会では、今年度からはスピリチュアルな苦しみ、つまり「答えることのできない苦しみ」に対する研修を行なっています。
既に受講済みの方もおられましたが初めて参加される方も多く、この布施緩和ケア研修会が広がりを見せていると感じ、嬉しく思いました。
今回のテーマは、前回に引き続き
『多職種で行うエンドオブライフ・ケア研修 ~聴く力~』
「理解するよりも理解者となること」を主軸にお話させていただき、講演の仕上げとして私共が関わらせていただいた症例を写真のスライドからケア内容を振り返るなど、分かりやすい講演になるよう意識いたしました。
また講演後は演習として、ターミナルケアにおける多職種連携での対応から1対1の対応まで、誰にでもできる具体的な対人援助法を、事例やロールプレイを通じて学びました。
本研修には、同じくファシリテーターである松本静香さんにもご協力をいただきました!
ありがとうございました。
北村愛美先生の講演を通じて、私が改めて学んだ「援助的コミュニケーション」について、記させていただきます。
【受講者の感想】
・患者さんの苦しみを共有するため、否定せず、苦しみの向こう側の大切なものにお互い気づくための反復、沈黙、問いかけであれば良いと思った。
・人のことを理解すること、理解されることと思われることの難しさを感じました。
・「反復」「沈黙」の研修は3回ほど参加させていただきました。繰り返しロールプレイすることで、はじめはしどろもどろでしたが、かみしめながら出来るようになりました。現場でも意識が高まっています。まだまだうまく出来ないと思うところがありますが、いろいろなケースに活かしていきたいと思います。
「苦しみとは何か。苦しみは希望と現実の開きです。皆さんが一度は耳にしたことがあるだろう音楽を紹介します。西田敏行さんが歌う『もしもピアノが弾けたなら』です。歌詞に注目して聞いてください。」
「歌詞から、苦しみとは何か感じられたことはありますでしょうか。
ピアノがないから苦しいのか。経済的な問題なのか。ピアノがあっても弾く腕がないから苦しいのか。
経済面や技術の問題なのでしょうか。
いえ、それよりも、思いが通じない苦しさを伝えているように私は感じます。
このように苦しみとは、人生の最終段階を迎える人だけでなく、身近にも存在していると思います」
研修会終了後、参加者のみなさまの感想を拝読いたしました。
そのうちのいくつかを、こちらでもご紹介させていただきます。
・今回の研修はケアマネージャーの立場としても理解していかなくてはいけないことなので非常にためになりました。理解者と思ってもらえるように努力したいと思います。
・2時間の研修でしたが、あっという間に終了しました。長く感じなかったです。時折、笑いもあり、頭に入りました。
・以前にも別の研修でエンドオブライフケアの話を聞き、再度、振り返りをする機会をもてて良かったです。残り少ない患者の時間に寄り添う対応が出来ればよいかと思いました。
・死と向き合うのはとてもつらいことです。けど、誰かが向き合わないと始まらないと誰も幸せにならないとつくづく感じています。向き合える仲間がいてることはとても心強いです。ありがとうございました。
・2日目の参加でした。前回の研修以降、実際に沈黙、反復をしてみました。うまくいかないことをグループの方と共有出来て、ほっとしたのと、反面、続けて行おうと改めて思いました。
・終末期、看取りは何例か経験しました。とてもつらく自分自身もしんどく、少しの間しんどい気持ちになりました。チームで看護することをこれからも経験していきたいと思います。学習会へもまた色々と参加していこうと思いました。
・自分が実際に体験することで理解しやすかった。ターミナルケアに対して苦手意識がありました。しかし、今回の反復、沈黙を学ぶことで関わり方に自信をもって関わっていけるかなと思いました。理解者になれるよう頑張りたい。
・自分を見つめなおし、改めて看護について考えることが出来ました。ひとつずつの会話を大切にしていきたいです。
・しんどいことを患者さんから言われたとき、つらい気持ちになるが、自分は相手にとって何かの力になれるよう聴く力をつけていきたいと思います。
・患者の立場になって考えることで、反復や沈黙の大切さが理解出来ました。聴くことはとても大切であることが分かった。
また、下記のような建設的なご意見もいただけました。
・ロールプレイ、パートナーチェンジがとても良かったです。ファシリテーターの方がもっとそばにいていただければ良かったです。アドバイスがもらいやすいと思います。
・質問コーナーがあれば良かったと思いました。勉強になりました。
・ロールプレイをした相手の方の理解が十分でなく、ロールプレイが成立しなかった。説明はちゃんとしていたけど、ロールプレイ自体に慣れていない感じでした。
・個人的には構成として先に「苦しみの定義」を共有しておいて、そのうえで反復・沈黙のロールプレイを行なうほうが目的意識がはっきりするのではないかと感じた。患者さんの苦しみを共有するため、否定しないため、苦しみの向こう側の大切なものにお互い気づくための反復、沈黙、問いかけであれば良いなと思った。
・これからもエンドオブライフケアの研修を続けていかれるのでしょうか?以前のような病院や在宅ケアでの取り組みや事例についての研修もしていただければと思います。本日は改めて傾聴することの大切さと難しさを感じました。
かわべクリニックが掲げる『東大阪プロジェクト』には3つの核となるテーマがあります。
・エンドオブライフケア
・いのちの授業
・ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
これらの研修会を、今後も定期的に行ってまいります。
今回のフォローアップ研修を、かわべクリニック内にて行ないます。
【第4回ELC東大阪学習会(in かわべクリニック)】
日時:11/21(木)17:30~19:00
タイトル:「苦しみを通して気づく「支え」
当クリニック看護師 川邉綾香が講師を務めます。詳細については、以下記事をご参照ください。
[9・10・11・12月のイベントご案内]
また次回の布施緩和ケア研修会・総会では、エンドオブライフケア協会理事 小澤先生をお招きし
『人生の最終段階 あなたの意思を実現してくれるのは誰でしょうか?~ACP 決めた内容 誰がする~』
をテーマにご講演いただきます。
【第19回布施緩和ケア研修会・総会】
日時:2020年 3月6日(金)18:30~21:00
場所:イコーラムホール 東大阪市岩田町4-3-22 希来里6階
定員:200名(医療・介護関係者)
みなさまのご参加をお待ちしております。
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