「働き方改革関連法」に関する説明を受けました
先日、顧問社会保険労務士である若林嘉教先生から、「働き方改革関連法」に関する説明を受けました。
大阪赤十字病院に勤務している時には考えもしなかった。「経営」。
開業を決めた時から、医療者としてだけでなく、経営者としての目線も重要となります。
クリニックには、勤務医時代の上司・同僚・部下の関係性とは異なる上下関係があります。
昨今の世間ではパワハラ、セクハラについて色々な話題を耳にしますので、一度頭の中を整理するためにも、ちょうどよい機会となりました。
お伺いした話を、私なりにまとめてみました。
「一億総活躍社会の実現に向けて」
働き方改革関連法に関する概要の説明2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されます。
I. 労働時間法制の見直し(労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正)
◆見直しの目的
「働きすぎ」を防ぎながら、「ワーク・ライフ・バランス」と「多様で柔軟な働き方」を実現すること
◆見直しの内容(抜粋)
①残業時間の上限規制
③年5日間の年次有給休暇の取得(企業に義務付け)
④月60時間超の残業の、割増賃金率引き上げ
⑤労働時間の客観的な把握(企業に義務付け)
⑥「高度プロフェッショナル制度」を創設
などなど
◆施行期日
2019年4月1日
*中小企業における残業時間の上限規制の適用は2020年4月1日
*中小企業における月60時間超の残業の、割増賃金率引き上げの適用は2023年4月1日
Ⅱ. 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
同一企業内における正規・非正規の間の不合理な待遇差の解消
(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正)
◆見直しの目的
同一企業内における正規と非正規との間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようにする。
◆見直しの内容
①不合理な待遇差をなくすための規定の整備
②労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化
③行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続の規定の整備
◆施行期日
2020年4月1日
*中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は2021年4月1日
上記を踏まえ、私が感じた重要な点を挙げると、
①残業時間の上限規制について
時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とする。
つまり…
今までは、法律上は、残業時間の上限がなかった(行政指導のみ)。
改正後は、法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業はできなくなる。
②年5日間の年次有給休暇の取得(企業に義務付け)
2019年4月1日から年次有給休暇の確実な取得が必要!
使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要がある。
つまり…
今までは、年次有給休暇取得の申出がしにくい状況があった(我が国の年休取得率49.4%)。
改正後は、労働者の希望を踏まえ、使用者が取得時期を指定し、年休を成立させる。
年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となる。
③月60時間超の残業の、割増賃金率引き上げ
月60時間を超える残業に対する割増賃金率を50%に引き上げる。
つまり…
今までは、月60時間超の残業割増賃金率 大企業は50%、中小企業は25%
改正後は、大企業、中小企業ともに50%に!
④労働時間の客観的な把握(企業に義務付け)=労働時間管理
労働時間の状況を客観的に把握するよう、企業に義務付ける。
つまり…
今までは、割増賃金を適正に支払うため、労働時間を客観的に把握することを通達で規定。
ただし、裁量労働制が適用される人などは、この通達の対象外。
改正後は、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法その他適切な方法で把握されるよう法律で義務付けます。
かわべクリニックでは、年次有給休暇を積極的に取得してもらえるような環境作りを行ってきました。
現に昨年度(2018年度)も、全スタッフが年次有給休暇を消化されています。
本年度からは、社会保険労務士を雇用し、残業時間、年次有給休暇、労働時間の客観的な把握が緻密に行ないます。
そして働き過ぎを防いで健康を守る措置をしたうえで、個々の事情にあった多様なワーク・ライフ・バランスの実現を目指します。
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