平成30年度 布施緩和ケア 研修会・総会
こんにちは。
「東大阪市医師会新聞」にて、3月2日(土)に開催された布施緩和ケア研修会・総会についてご報告する記事を掲載します。
その記事について、こちらのブログでもご紹介させていただきますので、ぜひご一読ください。
3月2日(土)に、第16回布施緩和ケア研修会および平成30年度第4回総会が、シェラトン都ホテル大阪にて開催された。
今回は、年度末の総会と銘打って広範囲にお声かけをさせていただいたこともあり、医師10名、看護師42名、ケアマネージャー40名、薬剤師2名、管理栄養士3名、その他を含めて定員の100名を大きく上回る、総勢125名の参加となった。
遠くは徳島県からの参加者もあり、この研修会が益々広く周知されてきている印象を受けた。
今回のテーマは、「苦しむ人にあなたは何ができますか―ホスピスケアから学ぶ、関わり方のヒント―」。
第一部は、「ディグニティセラピー~尊厳を守る援助~」をテーマに、ワークショップを実施。
第二部は、「たとえ明日お迎えがきたとしても一人の人間として尊厳を守るために私たちにできること」をテーマに、エンドオブライフ・ケア協会の立ち上げ時から事業運営に携わっている千田恵子先生、および4名のシンポジスト(かわべクリニック 看護師 川邉綾香、訪問看護ステーションリール 看護師 北村愛美、八尾徳洲会総合病院 看護師 松本静香、ケアプランセンターmey ケアマネージャー 柿本朋子)にご登壇いただき、シンポジウムを行った。
千田恵子先生は、かつて企業向けの人材育成や新規事業開発に従事するお仕事をしているさなか、ALSに罹患されたお父さまの介護に家族としてたずさわり、そしてお父さま本人の意思に基づき最期を見送られた。さらにその3か月後にお母さまが他界され、これらの経験や思いを持って法人を設立。
「これまで起きたすべてのことが今につながる」という想いで、日々活動されている。
人生の最終段階を迎えて、人は様々な形で、自身の“尊厳”を失っていく。
自分が果たしてきた役割を失い、家族や他の人に迷惑をかけ、自分でやりたいことを制限されてしまい、自尊心が崩れていく。
このような苦しみを抱えた人を前に、安易な励ましや慰めは通じない。どうすれば尊厳を守り、さらには、尊厳を維持していくことができるのか。
その一つの可能性として、本会ではカナダの精神科医チョチノフによって考案された精神療法的アプローチである「ディグニティセラピー」を事例とともに紹介し、ワークを通して理解を深めていただいた。
「ディグニティセラピー」では、人生を振り返り、本人が誇りに思っていること、果たしてきた役割、学んで来たこと、憶えていてほしいことなどを言葉にする。そして、その言葉を手紙などの形で、大切な人に受け継いでゆく。
ここでもっとも大切なことは、手紙を書くことではなく、援助者との関わりを通して本人が自己肯定できることである。そのための援助者のあり方について、第二部では4名のシンポジストに各自のストーリーを語っていただいた。
今回、シンポジストとして参加していただいた北村愛美看護師は
「『尊厳の中で死ぬということが何を意味しているのか』に目を向けることが重要であると感じた。『大切な人の大切なことを大切にする』ということを知る感性は養い続けるべきである。
人生の最終段階を迎える人との関わりから、その人にとって大切にしていることを探り、支えを知ること。そして、自分自身がメッセージを伝える場をつくる存在となることが、尊厳を守るために大切である。
また自身が語るだけでなく、他のシンポジストの語りを聴き、会場の参加者の反応を肌で感じ、自己肯定感を得られる機会になった。
物語から関わる人の存在の大切さを知ることができた。そして、支える人にも支えが必要であるということを、涙しながら語るシンポジストの姿から痛感した。
これからも、人生の最終段階を迎える人と関わるすべての人へ、誠実に向き合っていく大切さを伝える存在でありたいと思う」
と語ってくれた。
また参加したケアマネージャーから
「人と関わると言う事は、その人の人生にも関わるのだと痛感した。だけどその人の人生に介入するのではなく、人生を振り返り幸せだったと思い返すときもサポートできたら、と思った」
との感想をいただいた。
2019年度はこの取り組みを拡大し、医療・介護に関わる全ての職種を対象に、「死を目の前にした人に、私たちにできることがあります」をテーマとした研修会を開催予定である。ぜひ、多くの方に参加していただけることを願う。
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