第23回 大阪府栄養士会研究発表会で演題発表を行いました
こんにちは!在宅訪問管理栄養士の岡本です。
在宅で最期を迎える方も増えつつある中、人生の最終段階を迎えた人にどのような「食べるサポート」をすれば穏やかに過ごせるのか…。
ご家族の方は、とてもお悩みになると思います。
そのお悩みを解決するのが、在宅訪問管理栄養士です。
3月9日に開催された「第23回 大阪府栄養士会研究発表会」では、終末期医療の食事ケアをテーマに発表をさせていただきましたので、ご報告させていただきます。
在宅療養を行っている56歳から88歳の患者13名(男性7名、女性6名)に対し、月に1回から2回の在宅訪問栄養食事指導を行い、介護者や家族の療養者に対する食事や栄養面についての悩みや心配事に耳を傾け、生活の質が向上するように支援を行いました。
患者は
①低栄養
②褥瘡
③生活習慣病
④がん末期
⑤経腸栄養・嚥下機能障害
があり、栄養面でのサポートを必要とするものであります。
低栄養の評価については簡易栄養状態評価(MNA®)の使用、体重計測で行いました。
食事摂取量については、本人及び家族または介護者への聞き取り、ヘルパー連絡ノートの記載内容により把握しました。
共通の問題点として、家族、介護者がどのような食事を提供すればよいか、現在提供している食事でいいのかという疑問や不安がありました。在宅訪問栄養食事指導で栄養士が介入し、食事内容についての評価、その方に合わせた具体的なアドバイスをすることで家族、介護者の不安を軽減することができました。
①低栄養の患者は、食事内容の改善により5か月で、簡易栄養状態評価表(MNA®)が9ポイントから17.5ポイントへと上昇し、ADLの向上もみられました。
②褥瘡の患者は、たんぱく質摂取の強化を図り、褥瘡評価(DESIGN-R)がD4-25、8か月後の褥瘡評価(DESIGN-R)がD3-16まで改善しました。
③生活習慣病の患者については、糖尿病、高血圧、腎臓病、高脂血症など様々な疾病に対し、ヘルパーとの連携を密にとり、患者の嗜好に合わせた買い物や外食のアドバイスを行いました。
④がん末期の患者については、がん治療による味覚障害などの対応や食事量が減ることなどに対しての説明を行い、家族や介護者の不安を軽減することができました。
⑤経腸栄養、嚥下機能障害の患者は、下痢症状を改善するため、経腸栄養剤のとろみ剤の提案と実践、口から食べさせたいという家族の強い希望に対し、今後は歯科衛生士、歯科医と連携し経口摂取のサポートをしていく予定です。
在宅訪問栄養食事指導を行って、在宅療養での本人や家族、介護者の食事に対して悩みや不安が多くみられることが分かりました。
人にとって食べるということは生きること、つまり生命に直結する行為であり、また生きる上での楽しみでもあります。
そこで、栄養士が関わることで、食べられなくなる不安や食べるもの、食べ方の悩みを少しでも解消し、安心して食生活を送れることで在宅での療養を穏やかに過ごすことができると考えられます。
今後、在宅訪問栄養食事指導を行うにあたり、幅広い疾病に対する知識や多職種との連携のためのコミュニケーション能力が必要と考えられます。
また今後、摂食嚥下や褥瘡に対してもより知識を深めていく必要があると感じています。
そして、在宅療養者が増えていく今後、在宅訪問栄養食事指導の普及が求められます。
そのため、栄養士のこのような活動を多職種に広めていく必要があると感じています。
今回の発表後には、いろいろなご施設からご挨拶をいただきました。
中でも、大阪樟蔭女子大学 准教授 井尻吉信先生は、ライフワークとして、地域のクリニックに管理栄養士を広げていく活動を行っておられるそうで、当クリニックとも密に交流をとっていければと思っています。
まだまだ在宅訪問栄養指導について、ご存じない方が多いのが現状です。
在宅訪問栄養指導を普及させるために、今後もクリニックや管理栄養士の仲間で情報発信を行っていこうと思います。
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