シャイな患者さまとのコミュニケーション克服術!
こんにちは!看護師の川邉綾香です。
コミュニケーションは人と人が繋がる上では必要なツールです。
でも、コミュニケーションは苦手…という方も多いと思います。
「コミュニケーションを円滑にするために…」といった本は沢山ありますが、実際の看護現場で病気を抱えた方=苦しみを抱えた方を目の前にした時に、教科書通りにはいきません。
では、看護現場での円滑なコミュニケーションとは、どのようなものなのでしょうか?
患者さま自身が思う本当の苦しみと、私たちが思っている患者さんの苦しみとは、決してイコールではありません。
そして、患者さまが私たちに聞いて欲しいと思っていることと、私たち医療スタッフが患者さまから聞きたいことは、一致しません。
「苦しみ」とは希望と現実の開きである。
何のための、誰のための確認なのか一度考えてみましょう。
きちんと考えてみると、シャイな患者さんとのコミュニケーションが楽しくなります!
そんな彼の訪問時、私はある工夫をしてみました。
それは、訪問して15分間は、バイタルを測定する素振りを見せず、彼と妻と一緒に世間話を楽しむことでした。
すると彼の方から、「ちょっとずつ体調がましになっていると思う。さっきシャワーをしたけど、そんなに疲れなかった。もうちょっと体力ついたら嬉しいな」と、自ら体調の話をしてくださったのです。
その話をきっかけに、バイタル測定を行い、観察を行いました。
彼は、しんどくなることがわかっていたので、シャワーに入ることも拒み、清拭も自分ですると拒み、色々な提案を断っていました。
それらを自分で達成できたことを、本当は私たちに言いたくて仕方がなかったのだと思います。
私たちが一方的に「シャワーが出来たか?息が苦しくないのか?」などと聞きたいことを聞くのではなく、彼の意志を尊重したコミュニケーションが大切なのです。
また食事に関しても、妻から「お父さん、昨日唐揚げ食べたよ。でも、もう少しご飯食べてくれたら」との訴えがありました。
私は、「ん?ご飯は食べてられているのですよね?」とたずねたところ、妻から、「食べているよ。でもお父さんは白飯を食べないのよ。元々お酒が好きだったから、おつまみ、お酒のあてになるようなものは食べるけど、ご飯(白飯)を食べないからそれが困っていて」と。
数日前に看護記録にあった、妻の「ご飯を食べない。量も少ない」とはこの話だったのね、と気付きました。
私たちは、どうしても自分の物差しで物を見て、聞いてしまいがちです。
しかし色々な家庭があるように、「ご飯」という言葉一つにも色々な表現の仕方があります。
しっかりと相手の話を聞く姿勢や聞き方が重要なのです。
患者さまにとって、話し相手(医療者)が時計を見たり、落ち着きがなかったりすると焦り、伝えたいことを伝えられなくなってしまいます。
また、聞き手(医療者)も時間がなかったり、焦っていると、聞き方が浅くなり、誤解を生じる原因となリます。
そして、それが患者さまの新たなる苦しみを生じる可能性があるのです。
世間話から入って“前置き”を長くして、時間のゆとりを相手に感じさせることによって、安心感を与え、日頃引き出せない患者さまの顔を発見できることができます。
また会話を交わすことで、言葉の意味や真意についての発見に繋がる可能性があります。
このように、緩急つけた関わりもテクニックの一つなのです。
もちろん緊急の場合は、必要なことを確実に確認して、対応するコミュニケーション能力が問われます。
そのためには、緊急往診の依頼があった時も、現場に向かう車の中で何が起こっているのか、何が考えられるのか、現場で何ができるのかを考えながら向かう必要があリます。
看護は訪問前から始まっています。
今日の彼の気持ちはどんな感じかな?と想像しながら訪問すると、看護が楽しくなると思いませんか?
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