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【看取りの報告書】BCさまのこと

クリニックでは、患者さまが最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」としてまとめています。

今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。

BCさまのこと
がんと闘う意義 ~治療の止め時を一緒に考えたい~

いつもお世話になっております。
ご紹介いただきましたBC様についてご報告させていただきます。

貴院からご依頼があった翌日に初回訪問。
明らかに病状の進行によるADL低下、食事量低下、睡眠時間延長、痛みの増強を認め、初診ではあったものの、奥さまに対して予後が不良であることを説明。
ご自宅での看取りを希望されておられましたが、急変時に動揺するかもしれないと話されたため、翌週にB病院緩和ケア科の入棟面談を受けていただきました。
また、残された日が少ないことから、毎日訪問を行い、日毎に変わりゆく身体の変化とその対処法、穏やかに過ごせる方法について説明及びケアを行いました。

そして、介入から9日目に、ご家族さまに見守られる中、安らかに永眠されました。
奥さまは、
「コロナの影響で面会にも行けず、自宅に戻ってきたらとてもしんどそうにしていたので、びっくりしました。
でも、最後まで闘い続けたと思います。
夫は、癌とわかった時から今までのお礼を私たちに伝えてくれていました。
最期の時間を夫の望む家で過ごせてよかったです。」
と話されていました。

亡くなった後、息子さまお二人がBC様の身体を拭いて着替えをされている姿を見た奥さまが、嬉し涙を流されていたことが印象に残っています。
BC家の家族愛を垣間見た瞬間でした。
この度は、ご紹介ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

[ケアを振り返って]
医学が進歩する中、がんと診断された場合に行われる治療には、手術、放射線療法、薬物療法(化学療法や分子標的治療薬、ホルモン剤など)、そして免疫療法があります。
どの治療にもメリット・デメリットがあり、患者さま、ご家族さまは主治医や医療者としっかり話し合い、その時点での最善を考え、治療を選択しなければなりません。

残念ながら、再発や遠隔転移したがんは治癒が困難な場合が多く、がんとよりよく共存することが治療の目的となることがあります。
患者さまが主治医に自分の思い(大切にしていること、どのように過ごしたいかなど)をしっかりと伝えておかなければ、生活の質を維持した抗がん剤治療はできません。

つまり、厳しい言い方になるかもしれませんが、生活の質を著しく損なうようなとき、その時が『抗がん剤治療の止めどき』ではないかと考えます。

患者さま、ご家族さまが「治りたい、治したい」と願われるのは当然のお気持ちでしょう。
しかし、利益(効果)を上回る不利益をもたらす治療が続けられ、生活の質が低下し、残された大切な時間に影響が出ているケースが少なからず見受けられます。
だからこそ、治療によるメリット・デメリットを主治医と話しあい、気持ちを共有し、何のために治療を行うのかを見つめ直すことが大切です。

当クリニックにご紹介いただく患者さまの中には、ギリギリまで抗がん剤治療を行った結果、急速にADL(日常生活動作)が低下し、通院が困難となり、治療の終了を告げられ、在宅訪問診療が開始となる方がおられます。

急速なADLの低下を理解した上で治療を希望されていた場合は良いのですが、しっかりと話し合わず、残された時間にしたいことをするだけの体力が残されていない場合もあり、後悔を口にする方もいらっしゃます。

だからこそ、私たちは、お一人お一人が自分らしく生ききれるように、穏やかに過ごせるように、理想的にはがんと診断された早期から、関わりを持つようにしています。
そして、万全の治療が行えるよう体調を整え、『治療の止めどき』についても一緒に考えています。

「早期からの緩和ケアは生存期間を延長する可能性がある*」との報告もあります。
* Temel JS, Greer JA, Muzikansky A, et al. Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer.
N. Engl. J. Med. Aug 19 2010;363(8):733-742.

医師(医療者)の説明によって、患者さまの残された人生は大きく変わります。
『(抗がん剤)治療の止めどき』の難しさとしっかりと向き合い、患者さまを主語に、患者さまにとっての最善を考え、患者さま、ご家族さまが望む治療をともに考えていきます。

【今週の東大阪プロジェクト】
東大阪プロジェクトの活動の一部をご紹介させていただきます

【地域連携×東大阪プロジェクト 第3弾!】
日時:令和5年2月18日(土)18:00~21:00(17:45開場)
定員:オンライン 80名
対象:どなたさまでも(地域制限はありません)
話題提供:ケアからはじまるまち育て
講師:在田創一 先生
<注意>
グループワークがあります(4名程度)
画面をオンでの参加をお願いします。


※クリックするとPDFをご覧いただけます。

【申し込み】
https://88auto.biz/higashiosaka/registp/entryform24.htm

新たな出会い・学びとなれば幸いです。
是非、ご参加ください。

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