【看取りの報告書】Eさまのこと
クリニックでは、患者さまが病院を退院後、最期の時間を過ごされたご様子を「看取りの報告書」をとしてまとめ、病院看護師にお送りしています。
今までかわべクリニックがお見送りをした患者さまの「看取りの報告書」を、担当看護師の思い出と共にご紹介していきたいと思います。
【看取りの報告書 バックナンバー】
・Dさまのこと
・Cさまのこと
・Bさまのこと
・Aさまのこと
白血病のEさまの願いは、最期まで輸血をすること。「通院すれば輸血してもらえるのだとしたら、なにがなんでも外来に行く」とのご希望でしたが、それは厳しい状況でした。
「在宅医はいらない」というEさまのお気持ちを汲み取り、支えられる医療とは…。
[看取りの報告書]
退院支援課、血液内科外来スタッフ一同 様
いつもお世話になっております。Eさまについて、ご報告させていただきます。
「病院に行けば輸血をしてもらえる。だったら在宅医はいらない。通院する」というご希望だったEさま。しかし娘さまたちは、Eさまの病状に不安でいっぱいでした。私たちはまず、お話をうかがうところからスタートしました。
貴院外来で往診の説明だけを行ったのち、ご家族さまからは訪問診療介入のご依頼を受けました。6日後の貴科受診にて輸血(RCC, PC)を施行された効果もあり、その翌日には笑顔で訪問診療を受け入れてくださいました。「久しぶりにうどんを1/2人前も食べられた!いい便も出た」と嬉しそうにお話ししてくださったEさまの姿が、今でも思い起こされます。
4日後の日曜日くらいまでは、比較的楽に生活されておられましたが、週明けより、動作後に下腹部から下肢にかけての疼痛を訴えるようになり、レスキューの使用がやや増加。倦怠感の増強、また薄い血尿出現、便秘など調子が整わないことによる不安が強くなったため、時間をかけてゆっくり説明し、不安の軽減に努めました。
翌日の夕方に突然の嘔吐(緑色)を認め、緊急往診の依頼あり。胆汁様嘔吐を呈しており、プリンペランを含め点滴施行し症状緩和を図りました。娘さまからは、「自宅でもこうやって点滴してもらったら安心」とのお言葉をいただきました。
急変の可能性も高い旨をご説明し、娘さまたちは入眠されるEさまを見守っていました。
その日の夕、「眠っているのかと思っていたら呼吸が止まっている」との娘さまからの連絡を受け往診。急変の説明をしていましたが、突然の事で多少の動揺もうかがえましたが、午前0時25分に二人の娘さまに見守られる中、苦しまず、眠られるように永眠されました。
短い期間ではありましたが、Eさまと関わることができ嬉しく思います。外来処置室スタッフおよび退院支援課スタッフのおかげで自宅で過ごすことができたと、非常に感謝しておりました。ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
[ケアを振り返って]
患者さまは、できるだけ自宅で過ごしたいという気持ちがあります。ただ、Eさまの場合の輸血のように、病院でしかできない事があると、「通院しなければいけない」という気持ちが強く、そのために必死に頑張っておられます。
在宅で病院と同じような療養生活が送れるのであれば、主病院との併診という形をとることで、積極的治療が終わった時点ではなく早期から在宅診療を開始することが可能となり、安心した治療環境を提供できるのではないかと思います。
そしてその安心感が、自宅での看取りを可能にするのだと思います。
[ご家族さまからの手紙]
娘さまよりお葉書をいただきましたので、一部をご紹介させていただきます。
「寒い日が続いていますが、皆様お変わりないですか。
温かいお便りありがとうございました。一家の大黒柱で陽気な性格だった父が亡くなり寂しくなりましたが、父との思い出を家族で話しながら元気に過ごしています。
川邉先生を始め皆様と巡り会い、最期を家で過ごせた事本当に良かったと思っています。お世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。父も同じ思いでいたと思います。
皆様も身体に気をつけて一人でも多くの患者、家族のために頑張ってください。」
※プライバシーに配慮し、お名前はアルファベットとさせていただきました。
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